査定員のコメント
この度は、大切なミキモトのピアス/イヤリングを、当真珠専門本店までお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。お客様の耳元を長年飾ってきたジュエリーを目の前で査定させていただけることを、大変光栄に思います。
お客様から「もしかしてこれはマジョリカパールではないか」とのご懸念を伺いましたが、真珠の専門家として、まずミキモトのブランドポリシーについて明確にお伝えいたします。
ミキモト(MIKIMOTO)は、創業以来、真珠養殖のパイオニアとして、アコヤ真珠や白蝶真珠といった「本真珠」の最高品質のみを取り扱うブランドです。スペインのマヨルカ島発祥の「マジョリカパール」と呼ばれる人工真珠(模造真珠)を、ミキモトが正規製品として使用し、販売することは、ブランドの哲学上、一切ございません。
安心してください。お持ちのピアス/イヤリングは、金具の刻印やデザインの繊細な仕上げから、間違いなくミキモトの製品であると確認させていただきました。そして、専門の拡大鏡で真珠を拝見した結果、表面の複雑な光の反射(テリ)や、有機的な成長痕(天然の証)から、この真珠は人工真珠ではなく、極めてグレードの高い「本真珠」であると断定いたしました。
おそらく、この真珠のあまりに完璧で均一な輝きが、お客様に「人工真珠ではないか」というご心配を抱かせてしまったのだと推測いたします。最高級のミキモト真珠は、それほどまでに非の打ち所のない美しさを誇るのです。
ピアスの査定で最も重要なのは「ペアリティ(左右の均一性)」ですが、お客様の真珠は、テリ、色、サイズ、形状が寸分違わず揃っており、この稀少なペア性も最高額査定に大きく反映されます。
人工真珠と本真珠では、買取価格に決定的で桁違いの差があります。今回の査定では、お客様のジュエリーがミキモトの最高級「本真珠」であることを証明した上で、そのブランドの権威と真珠自体の資産価値を最大限に評価させていただきます。
ぜひ、お客様の目の前で、なぜこの真珠が「本真珠」であるのか、そしてなぜこの高額な査定額になるのかを、科学的な根拠と市場のニーズをもって、透明性高くご説明する店頭買取をご体験ください。
査定ポイント
私たち真珠の専門査定員が、お客様の「ミキモトのピアス/イヤリング」の真贋と品質を判断する際、以下の5つの専門的な基準で「人工真珠(マジョリカパール)」との違いを明確にし、「本真珠としての価値」を決定しています。
1. 「テリ(輝き)」の深さと「虹色の干渉光」
人工真珠は光沢が単一的ですが、本真珠は真珠層の重なりにより奥深い透明感のあるテリが生まれ、光を当てると複雑な虹色の干渉光(オーロラ効果)が現れます。この光の複雑性が、真贋を分ける最も重要なポイントです。
- チェックポイント: 真珠を回転させ、テリの中に奥行きを感じるか、ピンク、グリーン、ブルーなどの色が混ざった複雑な虹色の輝きが確認できるかを厳しく見ます。同時に、真珠の表面に映る光源の「像の輪郭」がシャープであるかも確認します。
2. 「ペアリティ」の完璧な一致性と真珠層の証
ピアス/イヤリングでは、左右の真珠の色、テリ、サイズ、形状が完全に一致する「ペアリティ」が不可欠です。本真珠は、不規則な成長痕(天然の証)を持っているのに対し、人工真珠は均一です。
- チェックポイント: 左右の真珠を並べ、色調とテリの強さが完全に揃っているかを確認します。また、高倍率のルーペを用い、真珠の表面にわずかなエクボ(天然の凹み)や有機的なシワなどの成長痕がないかを確認します。この「不完全な完璧さ」こそが、本真珠の証拠です。
3. 金具部分の「貴金属の品位」と「刻印」の明瞭さ
ミキモトの金具は、本真珠にふさわしい高品位な貴金属(Pt、K18)が使用されています。人工真珠の製品では、コストダウンのため低品位な金属やメッキが使われることが一般的です。
- チェックポイント: 金具の裏側に打たれたミキモトのMマークと、「Pt900」や「K18」などの品位刻印が、摩耗なく鮮明に打たれているかを確認します。ピアスのポストの曲がりやイヤリングのクリップのバネの強度も、機能性として評価対象となります。
4. 真珠と台座の「取り付け部分」の緻密な構造
ミキモト製品は、本真珠の特性を活かし、真珠に負担をかけず、かつ安全に固定するための緻密なセッティング技術が用いられています。人工真珠の製品では、取り付けが簡素である傾向があります。
- チェックポイント: 真珠と金属台座の接合部分を観察し、真珠を貫通する穴の縁に真珠層の欠けがないかを確認します。真珠が金具にぐらつきなく強固に固定されているか。使用されている接着剤の劣化による黄変がないかも詳細に見ます。
5. 長期保管による「有機的な経年変化」の有無
本真珠は有機物であるため、適切な保管下でも、光沢の潤いやテリの深さといった特性が時間と共に変化します。人工真珠は、このような有機的な劣化が起こりにくい特性があります。
- チェックポイント: 真珠の表面に潤いがなくなり、白っぽく乾燥した状態になっていないか、あるいは黄色味を帯びた変色がないかを、厳密な光の下でチェックします。これらの有機的な経年変化が確認できることは、逆に「本真珠であることの証拠」となり、査定の判断材料の一つとなります。